第15話 省エネ住宅と断熱材

省エネ住宅とは?

「省エネ住宅」とは壁や天井に断熱材を入れたり、窓や扉をペアガラスして断熱した住宅です。

日本は1980年(昭和55年)建築に関する法律で「省エネ住宅」を推奨しました。金融面で優遇され、全期間固定型の住宅ローンの【フラット35】が利用できるメリットがあります。

「夏涼しく 冬暖かい」がキャッチコピーでした。

理論検証 省エネ住宅と断熱材について
プロジェクトが始まった初期に 色々な理論を本やネットで調べました。今回は「省エネ住宅と断熱材」について調べました。調べたことを 下に書きます。

省エネ住宅は 夏涼しく 冬暖かい?

当時の多くの建設会社は「省エネ住宅は、夏涼しく、冬暖かい」と宣伝していました。

「一つのシステム(断熱)で 夏涼しく 冬暖かい」

私(園長)は それは科学的におかしい、そんな魔法のような住宅は無いと直感しました。

早速 ネットや本で調べてみると、当時の一般的な省エネ住宅は「断熱をすると 夏に冷房が効きやすく 冬に暖房が効きやすい」というのが真相でした。

(極一部ですが、「OMソーラー」等 夏と冬でシステムを変えた 省エネ住宅もありました)

  

省エネ住宅の現実

省エネ住宅は 国が推奨し、建設業界が後押しをして 人気の住宅になっていきました。

しかし 省エネ住宅の実態は 

●冬は暖かく快適

●夏は暑い 5月頃から冷房が必要

冬向きの住宅でした

  

何故 省エネ住宅は夏に暑い

鎌倉時代の随筆家 吉田兼好は著書 徒然草に「日本は暑く湿気も多いので住宅は夏向けに設計するのが良い。冬は何とかなる。」と書きました。

それ以来 日本の住宅は夏向きに設計してきました。冬は雨戸をしめたりして保温の工夫をしてきました。

衣服に例えると 夏は半そでのシャツを着て涼しく暮らし、 冬になるとシャツの上に毛糸の長袖セーターやコートを着て保温をしました。

今回の省エネ住宅は 衣服でいえば、 一年中 毛糸の長袖セーターやコートを着ているようなものです。 夏に暑いのは当然です。

鎌倉時代より続けてきた「夏向きの住宅」を「冬向きの住宅」に変えてしまった

●冬は暖かいが、夏は5月頃よりエアコンが必要になってしまった。

  

省エネ住宅が夏に暑いメカニズム

夜に冷めない部屋

上の図は室温に関するイメージ図です

  

一般的な住宅

●実線は 断熱材やペアガラスを使用していない普通の住宅

 ▲昼間は断熱性能が低いので 室温は上がりやすい

 ▲夜には天空放射(室外の冷気)で冷やされて 朝までに室温や壁の温度は下がります。

   

省エネ住宅

●点線は断熱材やペアガラスを使用した省エネ住宅

 ▲昼間は断熱性能が高いので 室温の上昇は穏やかです。

 ▲夜には断熱性能が高いので、室温が冷めにくく、朝になっても 暑さが残ってしまいます。だんだんと朝のスタート時の室温や壁の温度が高くなっていきます。

結果として、省エネ住宅は 夏の夜に室温が冷めないので 非常に暑く エアコンの使用が前提の住宅になってしまいました。

  

浄福寺幼稚園の保育室の設計方針

●吉田兼好の「日本の住宅は夏向けに設計するのが良い」を重要ととらえ 夏向きの幼稚園施設とする。

●断熱材、ペアガラスは使用しない。

●夏と冬でシステムを変えて 「夏涼しく冬暖かい幼稚園」にする。

●システムは 日本古来の技法と最新の技法の両方を使う。

●暑い日、暑い時間帯には エアコンをいれる。

●そもそも断熱材、ペアガラスが有効なのは 冬の夜です。幼稚園は夜は使わないので 断熱するメリットは有りません。

  

断熱材をあえて入れないという選択肢は 勇気がいりましたが結果として 浄福寺幼稚園の保育室は 夏に非常に涼しくなりました。

又、冬場も 昼間に関しては 断熱材を入れない方が 外の暖気や壁に当たる直射日光を取り込むのに有利です。冬も暖かい保育室になりました。

  

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幼稚園を涼しくするプロジェクト